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保険会社が整骨院を認めないと言われたら|交通事故の施術費と慰謝料

執筆 弁護士 鈴木晶(神奈川県弁護士会所属) 公開

この記事のポイント

  1. 保険会社に「整骨院は認めない」と言われても、それだけで通えなくなるわけではありません。症状に照らして必要で相当な施術なら、施術費は事故による損害として認められます。
  2. 整形外科の受診を続け、主治医に整骨院の施術を伝えて診療録に残してもらうことが大切です。
  3. 施術費が認められないと、整骨院の通院は慰謝料の計算でも考慮されず、低い額になることがあります。
困った顔の女性のイラスト
ご相談者
保険会社から「整骨院(接骨院)の施術は認めない」と言われました。もう整骨院には通えないんでしょうか?
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弁護士
それだけで整骨院に通えなくなるわけではなく、施術費が賠償の対象から外れると決まるわけでもありません。大切なのは、整形外科の受診を続けることと、主治医に整骨院で施術を受けていることを伝えて、診療録に残してもらうことです。順番に説明しますね。

 整骨院の施術費は、けがの症状に照らして必要で相当な施術であれば、事故による損害として認められます。裁判では、医師が整骨院での施術を指示していることが、施術の必要性を強くうかがわせる事情とされています(吉岡透「整骨院における施術費について」赤い本 2018年版 下巻(講演録編)27頁・29頁。以下「講演」)。

 整骨院は診断書や後遺障害診断書を作れないため、整形外科の記録が途切れると、残った症状が事故によるものかを判断しにくくなります(むち打ち損傷ハンドブック 第4版 169頁)。この頁では、施術費が認められる条件、保険会社に言われたときに確かめること、整形外科と併用する手順、慰謝料での通院の数え方を、図や表、チェックリストで説明します。

まず何をすればいい? 整形外科に通い続け、記録に残す

通う前も、通っている間も押さえる3つのこと

  1. 整形外科の受診を続ける:診断、レントゲンやMRIの検査、診断書や後遺障害診断書の作成は、整骨院ではできません。
  2. 主治医に整骨院のことを伝える:医師の指示や同意があれば、その内容を診療録に書いてもらいます。
  3. 整骨院の記録を残す:施術の日・部位・内容と症状の変わり方を施術録に書いてもらい、施術証明書・施術費明細書と領収書を保管します。

 どれかの記録が欠けると、次のように困ることがあります。

欠けた記録困ることこの頁の説明
医師の指示・同意の記録施術費の全部または一部が認められないことがある施術費が賠償で認められる条件は?
整形外科の通院の記録施術が必要だったことを医師の記録で示しにくくなる。施術費が認められないと、整骨院の通院が慰謝料の計算から外されることもある慰謝料は「一日いくら」? 整骨院の通院の数え方
症状の経過の記録残った症状が事故によるものだと示しにくくなる後遺障害の申請で困らないためには?

施術費が賠償で認められる条件は?

 整骨院と接骨院は、どちらも柔道整復師(厚生労働大臣の免許を受けた人。柔道整復師法2条)が施術をするところです。

法律書と木槌のイラスト
裁判で使われる基準をまとめた本(いわゆる赤い本)は、柔道整復・鍼灸・マッサージなどの施術費について、症状に照らして有効で相当といえるとき、特に医師の指示があるときなどには、認められる傾向にあるとしています(赤い本 2020年版 上巻 3頁)。自賠責保険の支払基準も、免許を持つ柔道整復師などの施術費を、必要かつ妥当な実費として支払の対象にしています(同 436頁)。

 講演では、施術費も医師の治療費と同じく、症状固定(治療を続けてもそれ以上よくならない状態)までの必要かつ相当な施術の費用であることが出発点で、施術録に書かれた施術が実際に行われたことも必要とされています(講演 27頁・28頁)。

 必要かつ相当かは、次の5つの点を合わせて判断します(同 28頁〜30頁)。

見られる点意味被害者の側で残せる記録
施術の必要性施術が必要な体の状態にあったか整形外科の診断書、診療録の症状の記載
施術の有効性施術で症状が和らいだか施術録の症状の変化、日々の痛みの記録
施術内容の合理性けがと症状に照らして過剰でなく、症状のある部位に行われたか施術録の部位が、診断書の傷病名と合っていること
施術期間の相当性けがの内容、経過、効果からみて、期間が長すぎないか症状の経過と、主治医の意見
施術費の相当性料金が社会一般の水準と比べて妥当か施術費明細書(部位の数と単価)

 健康保険の基準なら近い部位はまとめて1部位と数えるところを、自由診療で別々に数え、同じ施術なのに請求額が倍になっているような場合は、施術費の相当性に疑問を持たれ、認める割合を決めるときに考えに入れられることがあるとされています(講演 35頁・36頁)。

医師の指示・同意は、どのくらい重い?

医師が施術を指示している
必要性と有効性を強くうかがわせる
  • ただし、それだけで全額が認められるわけではない
  • すること:指示を診療録に書いてもらう。紹介状があれば保管する
医師が同意している
必要性と有効性をうかがわせる一つの事情
  • 内容を知ったうえでのはっきりした同意か、黙認に近いかで重みが変わる
  • すること:施術の内容と頻度を伝えたうえで同意を得る
指示も同意もない
必要性や有効性などを具体的に示せれば、認められることがある
  • すること:施術録で症状の改善を示す。整形外科にも通い続ける

 上の3つのカードは、講演 29頁・30頁をもとにまとめました。

骨折・脱臼の施術は、応急手当を除き、医師の同意が必要です

 骨折や脱臼の患部への施術は、応急手当を除き、医師の同意がなければできません(柔道整復師法17条、30条2号)。この同意は医師が患者を診察したうえで与えたものでなければならず、同意のない施術の費用は、応急手当の限度を除き原則として損害と認められないとされています。同意は口頭でもよく、どの医師から得たかが施術録に書かれていれば足りると考えられています(講演 31頁・32頁)。

全額が認められる? 一部だけのことも多い

 施術費がまったく認められない事案はそれほど多くなく、裁判例の多くは、期間や料金、必要性などを考えて施術費の何割かに限って認めているとされています(講演 32頁・33頁、交通事故におけるむち打ち損傷問題 第3版 91頁)。

認める割合を決めるときに考えに入れられる事情

  • 医師の指示や同意の有無と、その中身
  • 通院の頻度
  • 施術した部位の数や、症状との合い方
  • 症状がよくなったか
  • 病院のリハビリと重なっていないか

 こうした事情が考えに入れられています(交通事故におけるむち打ち損傷問題 第3版 93頁〜102頁、講演 28頁〜36頁)。どの事情も一つで結論が決まるわけではなく、いくつもの事情を合わせて判断されます(講演 30頁)。

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弁護士
認められる割合は事案ごとに違います。だからこそ、通院の頻度や施術の部位が症状に見合っていたことを、施術録と主治医の記録で示せるようにしておくことが大切です。

保険会社に「整骨院は認めない」と言われたら、何を確かめる?

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ご相談者
保険会社の「認めない」って、もう1円も払ってもらえないという意味なんでしょうか?

 任意保険会社が治療費を病院などに直接支払う「一括払い」は、自賠責保険の分も含めて立て替える仕組みです(交通事故におけるむち打ち損傷問題 第3版 88頁・89頁)。

「認めない」は、どちらの意味?

 「認めない」が、立替えをしないという意味か、施術費を賠償として争うという意味かで、次の手が変わります。

 立替えを断られても、必要かつ相当な施術であれば、自分で払った施術費をあとで請求できます。加害者側の自賠責保険に被害者から直接請求することもできます(自動車損害賠償保障法16条1項)。

 言われたことごとに、確かめることと用意する資料は次のとおりです。

言われたこと確かめること用意する資料
「整骨院の費用は払えない」立替えをしないだけか、施術費そのものを認めない趣旨か。理由は何か保険会社の書面、領収書、施術証明書・施術費明細書
「医師の指示がないと認めない」主治医が整骨院の施術をどう考えているか指示や同意が書かれた診療録、紹介状、主治医の意見書
「通いすぎ」通院の頻度と、症状の変わり方が合っているか施術録、痛みの記録、整形外科の診療録
「6か月を過ぎたので終わり」主治医が症状固定をいつと考えているか(6か月は一応の目安にすぎないとされています。講演 29頁・30頁)診断書、主治医の意見
「骨折しているので認めない」医師が診察したうえで施術に同意しているか同意した医師と日付が書かれた施術録
「病院のリハビリと重なっている」同じ内容の治療を二重に受けていないか整形外科のリハビリと整骨院の施術の内容

 支払の打ち切りを告げられたときは治療費打ち切りへの対処方法、症状固定の考え方は症状固定とは何かをご覧ください。

過失がつく事故や、相手が任意保険に入っていないとき

 過失がつく事故では、治療費のうち過失の分は最後の清算で被害者の負担になり、治療費が高いほど受け取る額が減ることがあるとされています(交通事故におけるむち打ち損傷問題 第3版 84頁)。施術費も同じです。

 相手が任意保険に入らず支払う力もないときは、事実上、自賠責保険の120万円の範囲でしか支払を受けられず、費用がかさむと慰謝料などに回る分がなくなることがあります(同 85頁)。

整形外科と整骨院は、どう併用すればいい?

整形外科と整骨院は、何が違う?

整形外科(医師)
  • 診察と検査:レントゲンやMRIなどの検査をして診断する
  • 薬:薬を使って治療できる
  • 経過の書類:診断書、診療報酬明細書
  • 後遺障害診断書:書ける
  • 骨折・脱臼:治療できる
整骨院・接骨院(柔道整復師)
  • 診察と検査:体の表面からの診察と施術を行う
  • 薬:薬の投与や外科手術はできない(柔道整復師法16条)
  • 経過の書類:施術証明書、施術費明細書
  • 後遺障害診断書:書けない
  • 骨折・脱臼:医師の同意がなければ施術できない(応急手当を除く。同法17条)

 上のカードの内容は、むち打ち損傷ハンドブック 第4版 119頁・169頁・172頁、赤い本 2020年版 上巻 436頁、交通事故におけるむち打ち損傷問題 第3版 102頁と柔道整復師法によります。役割の違いを踏まえて、次の手順で併用してください。

併用の手順

  1. 事故のあと、まず整形外科へ事故から初めて病院を受診するまでが10日を超えると、事故との関係を認めてもらうのはかなり難しいとされています(むち打ち損傷ハンドブック 第4版 171頁)。
  2. 主治医に相談する指示や同意の内容(部位、頻度、期間)を診療録に書いてもらいます。
  3. 保険会社に伝える整骨院の名前と主治医の意見を伝え、施術費を直接支払うかを確かめます。断られたら理由を書面でもらいます。
  4. 整形外科にも通い続ける整骨院だけの期間が長いと、症状の続き方を医師の記録で示せません(同 171頁)。
  5. 整骨院で症状の変化を伝える施術録の記載は、施術が行われたことを一応推認させるとされています(講演 28頁)。
  6. 同じ症状を、どちらでもありのまま伝える症状の訴えが途切れず一貫していることが大切です(むち打ち損傷ハンドブック 第4版 171頁。むちうちで疑われないための注意点)。
  7. 治療の終わりは主治医と決める症状が残るときは後遺障害診断書を依頼します。

時期ごとのチェックリスト

  1. 通う前□ 整形外科で傷病名の入った診断を受けた
    □ 主治医に整骨院のことを相談し、返事を診療録に残してもらった
    □ 骨折や脱臼があるときは、医師が診察したうえで施術に同意している
    □ 保険会社に整骨院の名前を伝え、直接支払うかを確かめた
  2. 通って
    いる間
    □ 整形外科にも続けて通っている
    □ 整骨院と整形外科で、同じ症状を同じように伝えている
    □ 施術録に、施術の部位と症状の変化を書いてもらっている
    □ 病院のリハビリと同じ内容を二重に受けていない
    □ 施術証明書・施術費明細書・領収書と、交通費の記録を保管している
    □ 遠くの整骨院に通う理由を説明できる
  3. 治療の
    終わり
    □ 症状固定の時期を主治医と相談した
    □ 症状が残るときは、後遺障害診断書を依頼した

慰謝料は「一日いくら」? 整骨院の通院の数え方

自賠責保険の基準:1日4,300円

 自賠責保険の支払基準では、けがの慰謝料は1日4,300円で、対象の日数は、けがの様子や実際に治療を受けた日数などを考えて、治療期間の範囲内で決めます(令和2年4月1日以降の事故。赤い本 2020年版 上巻 436頁)。

 実務では、治療を受けた日数の2倍と治療期間(事故から治療が終わるまでの日数)の少ないほうを使い、接骨院の施術も治療として扱う一方、鍼灸院やマッサージは実際に通った日数だけを対象にすると説明されています(むち打ち損傷ハンドブック 第4版 169頁)。けがの分は、治療費・施術費、休業損害、慰謝料などを合わせて120万円が上限です(自動車損害賠償保障法施行令2条1項3号イ)。

裁判の基準:日額ではなく通院の期間で決まる

 裁判の基準では、慰謝料は原則として入院・通院の期間から表で求め、むち打ち症で他覚所見がない場合などは別表IIを使います。通院が長く続いたときは、症状や治療の内容、通う頻度を考えて、実際に通った日数の3倍程度を通院期間とみることもあるとされています(赤い本 2020年版 上巻 192頁)。

×の札を持つ弁護士のイラスト
弁護士
裁判の基準には「1日いくら」という額はありません。通う日数を増やしても、そのぶん慰謝料が増えるわけではありません。

施術費が認められないと、慰謝料も下がることがある

 気をつけたいのは、施術費が認められなかったときです。その場合、整骨院への通院は慰謝料の算定でも考慮されず、病院に通った日数をもとに慰謝料が算定されて、低い額になることがあるとされています(交通事故におけるむち打ち損傷問題 第3版 156頁)。

計算例:整骨院の通院が数えられるかどうかで変わる額

 むちうち(他覚所見なし)で、事故から6か月(180日)で治療を終え、整形外科に20日、整骨院に70日通った例です(同じ日に両方へ通った日はないものとします)。

計算例のけがの慰謝料(3つの計算のしかた)自賠責保険の基準は、180日×4,300円で77万4,000円。裁判の基準で、整骨院も含めて6か月通院とみた場合は89万円。整骨院の通院が認められず、整形外科の20日の3倍程度の60日(通院2か月)とみた場合は36万円で、53万円の差が出る。自賠責保険の基準:180日×4,300円77万4,000円裁判の基準:整骨院も含めて通院6か月89万円裁判の基準:整骨院が認められず通院2か月53万円の差36万円
図 整骨院の通院が数えられるかどうかで、裁判の基準の慰謝料が変わる(下の表の例)
計算のしかた数え方けがの慰謝料
自賠責保険の基準90日 × 2 = 180日と治療期間180日の少ないほう。180日 × 4,300円77万4,000円
裁判の基準(整骨院も含めて6か月通院とみた場合)別表IIの通院6か月。通った90日の3倍(270日)は180日を上回るので、期間どおりに数える89万円
裁判の基準(整骨院の通院が認められず、整形外科の20日の3倍程度の60日を通院期間とみた場合)別表IIの通院2か月36万円

 この例では、整骨院の施術が必要と認められるかどうかで、裁判の基準の慰謝料に53万円の差が出ます(別表IIの額は赤い本 2020年版 上巻 194頁)。自賠責保険の額は、120万円の上限の中で治療費などと合わせて支払われます。実際の額は症状や通院の経過で変わります。相場の全体は交通事故の慰謝料の相場をご覧ください。

後遺障害の申請で困らないためには?(後遺障害診断書を書くのは医師)

医師が診察するイラスト
後遺障害診断書を書けるのは医師だけで、柔道整復師は書けません(むち打ち損傷ハンドブック 第4版 172頁)。

 同書は、後遺症の認定で大切な点として、次のことなどを挙げています(同 171頁)。

  • 事故の当初から病院に通い続けていること
  • 症状の訴えが症状固定まで途切れず一貫していること
  • 診断書の自覚症状と、画像や神経の検査の結果が合っていること

整骨院だけの期間が長いと

 整骨院だけの期間が長いと、その間の症状を医師の記録で確かめられません。たとえば首の症状の記載が事故の2か月後から始まっていると、頚椎捻挫と事故との関係が認められず、等級が認められないと説明されています(むち打ち損傷ハンドブック 第4版 171頁)。整骨院で伝えている症状は、整形外科でも同じように伝えてください。

 首や腰の痛み・しびれが残ったときに主に問題になるのは、「局部に頑固な神経症状を残すもの」(12級13号)と「局部に神経症状を残すもの」(14級9号)です(自動車損害賠償保障法施行令 別表第二)。むちうちで認められる後遺障害の等級も、多くは12級か14級とされています(むち打ち損傷ハンドブック 第4版 162頁)。

 裁判の基準の後遺障害慰謝料の目安は、14級で110万円、12級で290万円です(赤い本 2020年版 上巻 196頁)。等級と検査は首・背中・腰の後遺障害、14級の計算は後遺障害14級の慰謝料と逸失利益の計算方法、むちうちの全体はむち打ち(末梢神経障害)についてで説明しています。

よくある質問

「通いすぎ」と言われました。何回までなら大丈夫ですか。

 決まった回数はありません。講演では、事故の直後から頻繁に(ときにはほぼ毎日)通い、内容も頻度もあまり変わらないまま6か月でぴたりとやめ、高額な施術費を請求するような事案は、必要性、有効性、合理性や施術費の相当性を疑われることがあるとされています(講演 29頁・30頁)。症状がよくなるにつれて施術の部位や回数を見直したときは、その経過を施術録に残してもらうとよいでしょう。施術で症状が和らいだこと(有効性)を示す手がかりになります(講演 28頁・29頁)。頻度は主治医と相談して決めてください。

電気治療だけの日も、慰謝料の通院日に数えますか。

 自賠責保険の実務では、慰謝料の日数は実際に治療を受けた日数(入院と通院の日数)をもとに数えると説明されています(むち打ち損傷ハンドブック 第4版 169頁)。ただ、裁判では施術の中身も見られます。電気治療でも、施術を受けて症状が具体的に和らいでいれば、施術の有効性を示す事情になります(講演 28頁・29頁)。一方、病院でもリハビリなどを受けているときは、それに加えて整骨院の施術まで必要だったか、医師の指示や同意があるかが考慮されます(交通事故におけるむち打ち損傷問題 第3版 98頁・100頁・101頁)。同じ内容を両方で受けるときは、その理由を主治医と確かめてください。

鍼やマッサージ、整体・カイロプラクティックはどうですか。

 鍼灸やマッサージの施術費も、柔道整復と同じく、症状に照らして有効で相当といえるとき、特に医師の指示があるときなどには、認められる傾向にあります(赤い本 2020年版 上巻 3頁)。自賠責保険の支払基準も、免許を持つあんま・マッサージ・指圧師、はり師、きゅう師の施術費を対象にしていますが(同 436頁)、慰謝料では実際に通った日数だけが対象になると説明されています(むち打ち損傷ハンドブック 第4版 169頁)。整体やカイロプラクティックは公的な資格ではなく(同 119頁)、カイロプラクティックは民間療法で、自賠責保険では治療と認められないとされています(同 169頁)。

保険会社が払っていた施術費を、示談で減らすと言われました。

 保険会社がいったん施術費を払っていても、あとで必要性や相当性を争われることがあり、裁判での扱いは事情によって分かれています(交通事故におけるむち打ち損傷問題 第3版 93頁・96頁・99頁)。施術録や主治医の記録をそろえて、提示の中身を確かめてください。対応は保険会社から示談交渉を迫られたときの対応方法で説明しています。

こんなときはご相談ください

○の札を持つ弁護士のイラスト
弁護士
保険会社から整骨院のことで何か言われたら、記録がそろっているかの確認だけでも、お気軽にご相談ください。

ひとつでも当てはまったら

  • 保険会社から、整骨院の施術費は支払わないと言われた
  • 施術費や慰謝料を減らした示談の案を示された
  • 整骨院に通っている間に、治療費の打ち切りを告げられた
  • 痛みやしびれが残りそうで、後遺障害の申請を考えている

 整骨院の方に向けた説明は、整骨院・保険代理店の方へにまとめています。

参考文献

  • 柔道整復師法 2条、16条、17条、30条
  • 自動車損害賠償保障法 16条1項、同法施行令 2条1項3号イ、別表第二
  • 「自動車損害賠償責任保険の保険金等及び自動車損害賠償責任共済の共済金等の支払基準」(平成13年金融庁・国土交通省告示第1号。令和2年4月1日以降の事故に適用するもの)
  • 公益財団法人日弁連交通事故相談センター東京支部『民事交通事故訴訟 損害賠償額算定基準』(赤い本)2020年版 上巻 3頁、192頁、194頁、196頁、436頁
  • 吉岡透「整骨院における施術費について」公益財団法人日弁連交通事故相談センター東京支部『民事交通事故訴訟 損害賠償額算定基準』2018年版 下巻(講演録編)27頁〜36頁
  • 栗宇一樹・古笛恵子編『交通事故におけるむち打ち損傷問題〔第3版〕』(保険毎日新聞社)84頁・85頁、88頁・89頁、91頁、93頁〜102頁、156頁
  • 遠藤健司・西村浩輔編著『むち打ち損傷ハンドブック 第4版』(丸善出版)119頁、162頁、169頁、171頁・172頁
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この記事を書いた弁護士
鈴木 晶神奈川県弁護士会所属・横浜クレヨン法律事務所

 交通事故の被害に遭われた方の、示談交渉から紛争処理センター、訴訟までを担当しています。

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